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スニーカー アッパーの素材と選び方|履き心地を左右する生地の違いとは

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「スニーカーのアッパーって何?」「素材によって何が違うの?」——スニーカーを選ぶとき、ソールのクッション性やデザインばかりに目が行きがちですが、足を包み込む「アッパー」こそ、履き心地・通気性・耐久性を大きく左右するパーツです。

結論から言えば、アッパー素材の特徴を知っておくだけで、スニーカー選びの失敗はぐっと減ります。メッシュ、ニット、天然皮革、合成皮革、ナイロン、TPU——それぞれに得意・不得意があり、使うシーンに合った素材を選ぶことが大切です。

この記事では、スニーカーのアッパーに使われる主要素材の特徴を数値データや仕組みから整理し、用途別の選び方からお手入れ方法まで、布と生地の視点からわかりやすく解説していきます。

📌 この記事でわかること

・スニーカーのアッパーとは何か、なぜ素材選びが重要なのか
・メッシュ・ニット・レザーなど主要6素材の特徴とスペック比較
・通勤・スポーツ・雨の日などシーン別のおすすめ素材
・素材別の正しいお手入れ方法と、やりがちな失敗の防ぎ方

目次

スニーカーのアッパーとは?履き心地を決める最重要パーツ

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アッパーはスニーカーの「顔」——足を包む部分すべてを指す

スニーカーのアッパーとは、靴底(ソール)より上の、足の甲・側面・かかとを覆うパーツ全体のことです。つま先を保護するトゥボックス、足の甲を押さえるシュータン(ベロ)、かかとを支えるヒールカウンターなどもアッパーの一部に含まれます。

スニーカーの見た目を決めるのもアッパーです。同じソールを使っていても、アッパーの素材や色が変わるだけで印象がまったく異なります。そのため、デザインで靴を選ぶとき、実質的にはアッパーの見た目で選んでいることが多いのです。

ただし、見た目だけで選ぶと「蒸れる」「重い」「すぐ傷んだ」といった後悔につながりやすい部分でもあります。アッパーは足に直接触れるパーツだからこそ、素材の特性を知っておくことが大切です。

アッパー素材が通気性・フィット感・耐久性を左右する

アッパー素材が変わると、スニーカーの性能は大きく変わります。たとえば、メッシュ素材のアッパーは通気孔が多く、靴内の温度上昇を抑えやすい構造です。一方、天然皮革のアッパーは通気性では劣るものの、足に馴染んでいくフィット感と耐久性に優れています。

フィット感にも差が出ます。ニット素材は伸縮性が高く、靴下のように足を包むため「履いていることを忘れる」ような軽い着用感が特徴です。合成皮革は型崩れしにくい反面、伸びが少ないため、サイズ選びがシビアになります。

耐久性については、天然皮革が適切にケアすれば5年以上使えるのに対し、合成皮革は2〜3年で表面がひび割れ始めることが一般的です。素材ごとの寿命を知っておくと、買い替えの目安も立てやすくなります。

同じブランドでもアッパー素材で価格帯が変わる

スニーカーの価格差は、ソールよりもアッパー素材に起因していることが少なくありません。たとえば、同じモデルでもメッシュアッパーなら8,000〜12,000円程度、天然皮革アッパーになると15,000〜25,000円程度と、素材だけで1.5〜2倍の差がつくケースがあります。

これは素材そのものの原価だけでなく、縫製や加工の手間も影響しています。天然皮革は裁断時に一枚ずつ質感を確認する必要があり、メッシュのように大量に均一カットするのが難しいためです。ニットアッパーは一体成型で作れるモデルが増えており、パーツ数を減らせる分、コストと軽量化を両立しやすいという利点があります。

「高いスニーカー=良いスニーカー」とは限りませんが、アッパー素材の特性を理解していれば、価格に見合った価値かどうかを判断しやすくなります。

アッパーの構造を知ると靴選びの失敗が減る

アッパーはただ一枚の素材で作られているわけではなく、複数のパーツを組み合わせて構成されています。つま先部分は耐久性の高い素材で補強し、甲の部分は通気性の良い素材を使い、かかとには硬い芯材を入れる——というように、部位ごとに最適な素材を配置しているのです。

最近のスニーカーでは、1枚のニット素材で足全体を包む「ワンピースアッパー」も増えています。継ぎ目が少ない分、縫い目が足に当たる不快感が軽減され、軽量化にもつながります。ただし、ホールド力はパーツを縫い合わせた従来型のほうが高い傾向です。

「どの部分にどんな素材が使われているか」をチェックする習慣をつけるだけで、見た目や値段だけではわからない靴の性能が見えてきます。商品タグや公式サイトに素材表記があるので、購入前に確認してみてください。

📖 教科書メモ

アッパーはスニーカーのソールより上の部分すべてを指し、通気性・フィット感・耐久性・価格の大部分を決めるパーツ。素材表記を確認する習慣が、靴選びの精度を上げる第一歩です。

アッパーに使われる主な天然・繊維素材の特徴

メッシュ素材——通気孔が生む圧倒的な通気性

メッシュはポリエステルやナイロンの糸を網目状に編んだ素材で、ランニングシューズやウォーキングシューズのアッパーに広く使われています。最大の強みは通気性の高さです。網目構造のおかげで空気が靴内を循環しやすく、足の蒸れを効率的に逃がします。

一般的なメッシュアッパーの場合、通気度(JIS L 1096準拠)は100〜250 cm³/cm²/sほどとされ、天然皮革の10〜30 cm³/cm²/s程度と比較すると、数倍〜10倍近い空気透過量があります。夏場や運動時に足が蒸れやすい人にとっては、大きなメリットです。

デメリットは、耐久性と防水性が低いこと。網目構造のため引っかきに弱く、雨の日は水が直接入り込みます。街歩きメインなら問題ありませんが、悪天候が多い地域では注意が必要です。

ニット素材——靴下のようなフィット感と軽さ

ニット素材のアッパーは、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維を靴下のように編み上げて作られます。2012年頃からランニングシューズで本格的に採用が始まり、現在ではスポーツシューズからタウンユースまで幅広いモデルに使われています。

ニットアッパーの重量は、同サイズの天然皮革アッパーと比べて約40〜60%軽いのが一般的です。片足あたり50〜100g以上の差になることもあり、長時間歩くときの疲労感に直結します。伸縮性も高いため、足の形に沿ってフィットしやすく、幅広の足にも馴染みやすいのが特徴です。

ただし、伸びやすさはホールド力の弱さにもつながります。横方向の激しい動きが多いバスケットボールやテニスなどには不向きとされ、これらのスポーツではサポート性の高い素材と組み合わせたモデルが選ばれることが多いです。

天然皮革(レザー)——経年変化を楽しめる唯一の素材

天然皮革のアッパーは、スニーカーの定番素材として長い歴史があります。牛革が最も一般的で、ほかに豚革(ピッグスキン)やスエード(牛革・豚革の裏面を起毛させたもの)も使われます。

天然皮革の最大の魅力は、履き込むほど足に馴染む「経年変化」です。新品時はやや硬いものの、着用を重ねるうちに繊維がほぐれ、自分の足形にフィットしていきます。適切にケアすれば5〜10年以上使えるケースもあり、長期的なコストパフォーマンスは高いです。

一方、天然皮革は水に弱い素材です。雨に濡れたまま放置するとシミや硬化の原因になり、カビが発生するリスクもあります。また、重量がメッシュやニットより重い点も、長時間の歩行やスポーツには不利になります。定期的な防水スプレーとクリームでのケアが欠かせません。

📖 教科書メモ

メッシュは通気性、ニットはフィット感と軽さ、天然皮革は経年変化と耐久性——それぞれの強みは明確に異なるため、「何を優先するか」で選ぶのが基本です。

合成素材のアッパーを深掘り——合皮・ナイロン・TPUの違い

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合成皮革——手頃な価格で革の見た目を再現

合成皮革(合皮)は、ポリウレタンやPVC(ポリ塩化ビニル)を基布に塗布して革の質感を再現した素材です。天然皮革の半額以下で手に入ることが多く、1足5,000〜10,000円台のスニーカーでよく使われています。

見た目は天然皮革に近いため、きれいめのコーディネートにも合わせやすいのがメリットです。汚れも表面を拭くだけで落としやすく、日常の手入れが楽な点も支持されています。

最大の弱点は寿命です。合成皮革は製造時点から加水分解(空気中の水分でポリウレタンが分解される現象)が始まっており、使用頻度にかかわらず2〜3年で表面がベタついたり、ひび割れたりします。「あまり履いていないのにボロボロになった」という声が多いのは、この加水分解が原因です。保管環境の湿度を50%以下に保つことで進行を遅らせることはできますが、完全には防げません。

合成繊維(ナイロン・ポリエステル)——軽量で水に強い実用素材

ナイロンやポリエステルの織物・不織布で作られたアッパーは、メッシュやニットとは異なり、目が詰まった布帛(ふはく)構造が特徴です。クラシックなランニングシューズやレトロスニーカーでよく見られます。

ナイロンは引っ張り強度が高く、同じ厚みの綿布と比較して約2〜3倍の引裂強度を持つとされています。ポリエステルはナイロンよりも紫外線に強く、色褪せしにくいのがメリットです。どちらも吸水率が低い(ポリエステルで約0.4%、ナイロンで約4.5%)ため、雨に濡れても乾きが早いです。

デメリットとしては、メッシュほどの通気性はなく、ニットほどの伸縮性もない点が挙げられます。良く言えば「バランス型」ですが、突出した強みがないとも言えます。デザインのバリエーションが豊富なので、見た目と実用性のバランスで選ぶ素材です。

TPU・フィルム素材——サポート力と軽量性を両立

TPU(熱可塑性ポリウレタン)は、スニーカーのアッパーでサポートパーツとして使われることが多い素材です。単体でアッパー全体を構成するケースは少なく、メッシュやニットと組み合わせて、かかとやサイドに配置されることが一般的です。

TPUの特徴は、薄くても高い剛性を持つことです。厚さ0.5mm程度のフィルム状でも十分なホールド力があり、従来の縫製パーツを置き換えることで軽量化と強度を両立しています。熱を加えると自由に成型できるため、複雑なデザインも実現しやすいです。

注意点として、TPUフィルムは通気性がほぼゼロです。そのため、TPUが広範囲に使われているアッパーは蒸れやすくなる傾向があります。メッシュ部分とTPU部分のバランスを確認し、通気口が十分に確保されているかチェックするのがポイントです。

⚠️ 注意

合成皮革のスニーカーは、履いていなくても加水分解で劣化が進みます。「いつか履こう」と箱に入れたまま保管していると、いざ取り出したときに表面がボロボロになっていた——というのはよくある失敗です。購入したらなるべく早く履き始め、保管時は乾燥剤を入れて湿度管理をしましょう。

スニーカー アッパー素材のスペック比較——数値で見る実力差

6素材の通気性・重量・耐久性を一覧で比較する

ここまで紹介した6つのアッパー素材を、スニーカー選びで重要な指標ごとに比較します。一般的なスペック傾向を表にまとめたので、素材選びの判断材料にしてください。

比較項目 メッシュ ニット 天然皮革 合成皮革 ナイロン/ポリエステル TPU
通気性 ×
フィット感 ○(経年)
耐久性(寿命目安) 2〜3年 2〜4年 5〜10年 2〜3年 3〜5年 3〜5年
重量(片足目安) 200〜280g 180〜260g 350〜500g 280〜380g 250〜350g —(補助素材)
防水性 × × △(要ケア)
価格帯(税込目安) 5,000〜15,000円 8,000〜20,000円 15,000〜30,000円 5,000〜12,000円 6,000〜15,000円 —(補助素材)
お手入れ 水洗い可 水洗い可 専用クリーム推奨 拭き取り 水洗い可 拭き取り

この表で注目してほしいのは、すべての項目で「◎」がつく万能素材は存在しないという点です。通気性を取ればメッシュやニット、耐久性を取れば天然皮革、防水性を取れば合成皮革やTPU——というように、トレードオフの関係にあります。「自分が何を優先したいか」を明確にすることが、素材選びの出発点です。

耐久性と寿命の目安——素材で差が出るポイント

スニーカーの寿命はソールの摩耗で決まると思われがちですが、アッパーの劣化が先に来るケースも少なくありません。特に合成皮革は、先述の加水分解により使用頻度にかかわらず2〜3年で表面が劣化します。天然皮革はケア次第で5〜10年持ちますが、ケアを怠ると1〜2年でひび割れが始まります。

メッシュやニットの寿命を左右するのは、物理的なダメージです。つま先をぶつけたり、引っかけたりすると穴が開きやすく、一度穴が開くと広がる一方です。とはいえ、日常使いであれば2〜4年は十分に使えます。

長く使いたいなら、素材に合ったケアを継続することが最も効果的です。高い靴を買っても手入れをしなければすぐ傷みますし、手頃な価格の靴でも丁寧に扱えば長持ちします。素材ごとのケア方法はこの記事の後半で詳しく解説します。

重さとフィット感——軽さだけで選ぶと後悔する理由

「軽いスニーカーが良いスニーカー」と思われがちですが、軽さとホールド力は基本的にトレードオフの関係にあります。ニットアッパーは片足180g台から見つかりますが、伸縮性が高い分、足をしっかり固定する力は弱めです。長距離のウォーキングや立ち仕事では、途中で足が靴の中でズレて疲れが出ることがあります。

逆に、天然皮革アッパーは片足350〜500gと重めですが、しっかりしたホールド力が足のブレを防ぎ、結果的に疲れにくいと感じる人もいます。「軽い=楽」とは限らないのです。

選ぶ際の目安としては、短時間の外出や運動なら軽さ重視でメッシュ・ニット、長時間の歩行や足元の安定感が必要な場面なら、多少重くてもホールド力のある素材を選ぶのがおすすめです。店頭で試し履きするときは、片足だけでなく両足で店内を歩いてフィット感を確認してください。

📖 教科書メモ

万能なアッパー素材は存在しません。通気性・耐久性・防水性・フィット感はトレードオフの関係。「自分が何を優先するか」を決めてから素材を選ぶのが失敗しないコツです。

シーン別・スニーカー アッパー素材の選び方ガイド

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通勤・通学には合成皮革かナイロンがバランス良し

毎日の通勤・通学で使うスニーカーに求められるのは、見た目のきちんと感・ある程度の耐久性・手入れのしやすさの3つです。この条件を満たしやすいのが、合成皮革またはナイロン・ポリエステル素材のアッパーです。

合成皮革は革靴に近い見た目で、ビジネスカジュアルにも合わせやすいです。表面の汚れはウェットティッシュで拭くだけで落とせるため、毎日のケアも楽。寿命が2〜3年と短めですが、通勤・通学用と割り切れば十分です。

ナイロン素材は軽さと耐久性のバランスが良く、リュックを背負って自転車通勤するようなアクティブな使い方にも向いています。濡れても乾きが早いので、急な雨でもダメージが少ないのも利点です。ただし、フォーマル寄りの職場では少しカジュアルに見えることもあるので、デザインで補う工夫が必要です。

ランニング・スポーツにはメッシュかニットが定番

運動時にスニーカーに求められるのは、通気性・軽さ・フィット感です。足は運動中に約コップ1杯分(約200ml)の汗をかくとされており、通気性の低いアッパーでは靴内がサウナ状態になります。メッシュアッパーなら通気度が高いため、運動中の蒸れを大幅に軽減できます。

ニットアッパーはフィット感に優れ、足の動きに追従するため、ランニングのような前後方向の運動に向いています。ただし、バスケットボールやテニスなど横方向に力がかかるスポーツでは、ニットだけでは横ブレを支えきれないことがあります。サイドにTPU補強が入ったモデルを選ぶと安心です。

注意したいのは、スポーツ用メッシュシューズをそのまま街履きに兼用するパターンです。運動用の柔らかいメッシュはアスファルトの摩耗に弱く、つま先から穴が開きやすいです。運動用と街履き用は分けたほうが、結果的に長持ちします。

雨の日や梅雨時期に強い素材はどれか

雨対策でアッパー素材を選ぶなら、合成皮革かTPU補強の多いモデルが有利です。合成皮革は表面に水を通さないコーティングがあるため、小雨程度なら靴内への浸水を防げます。TPUフィルムも同様に防水性が高いです。

実は意外と知られていないのが、ナイロン素材の撥水性です。ナイロンは吸水率約4.5%とポリエステル(約0.4%)より高いものの、撥水加工が施されたナイロンアッパーは雨天でも比較的快適に過ごせます。アウトドア系スニーカーでは、ナイロンアッパーに防水メンブレン(防水透湿膜)を挟んだモデルもあり、本格的な雨でも対応できます。

一方、メッシュとニットは雨天では避けたいアッパー素材です。どちらも編み目から直接水が入り込み、一度濡れると靴内が不快になります。梅雨時期用にメッシュ・ニット以外のスニーカーを1足持っておくと、ローテーションが組みやすくなります。

📖 教科書メモ

通勤通学なら合皮かナイロン、運動ならメッシュかニット、雨の日なら合皮かTPU補強モデル。用途ごとにスニーカーを使い分けるのが、アッパーを長持ちさせるコツでもあります。

スニーカー アッパーのお手入れ方法——素材別の正しいケア

メッシュ・ニットアッパーは中性洗剤+ブラシで丸洗いできる

メッシュやニット素材のアッパーは、化学繊維でできているため水洗いが可能です。基本の手順は、インソールとシューレース(靴紐)を外し、中性洗剤をぬるま湯(30〜40℃)に溶かし、やわらかいブラシで優しくこすり洗いします。

ポイントは、洗剤を直接アッパーにつけないこと。原液がつくと色ムラの原因になります。必ずぬるま湯に溶かしてから使いましょう。すすぎは洗剤が残らないよう丁寧に行い、タオルで水気を取ったあと、風通しの良い日陰で自然乾燥させます。

よくある失敗が、乾燥を急いでドライヤーや直射日光にあてるケースです。高温は化学繊維の変形やソールの接着剤の劣化を招きます。特にニットアッパーは熱で編み目が歪むと元に戻らないため、自然乾燥が鉄則です。新聞紙を丸めて靴の中に入れておくと、型崩れ防止と吸湿を同時にできます。

レザー・合成皮革アッパーは水洗いNG——拭き取りケアが基本

天然皮革のアッパーは、原則として水洗いしません。水に長時間さらすと革が硬くなり、色落ちやシミの原因になります。日常のケアは、馬毛ブラシでホコリを払い、革用クリーナーで汚れを拭き取り、保革クリームを薄く塗る——この3ステップが基本です。

合成皮革も水洗いは避けたほうが安全です。合皮は水そのものには強いですが、縫い目から水が浸入して内部の接着剤が剥がれるリスクがあります。固く絞った布で表面を拭くだけで、大半の汚れは落ちます。

天然皮革のスニーカーで特に注意したいのは、雨の日に履いたあとの処理です。濡れた革を放置するとカビが発生しやすくなります。帰宅したらすぐに乾いた布で水分を拭き取り、新聞紙を入れて室内で自然乾燥させてください。完全に乾いたあとに保革クリームで油分を補給するのが理想的です。

📋 素材別お手入れ手順

1

インソールと靴紐を外す(どの素材でも共通の下準備)

2

メッシュ・ニット → ぬるま湯+中性洗剤でブラシ洗い / レザー・合皮 → 専用クリーナーで拭き取り

3

風通しの良い日陰で自然乾燥。新聞紙を入れて型崩れ防止 / レザーは完全乾燥後に保革クリームで油分補給

素材を傷めないための乾燥・保管のポイント

アッパーの寿命を縮める最大の要因は、実は「履いたあとの処理」です。汗で湿った靴をそのまま下駄箱にしまうと、雑菌の繁殖やカビの発生を招きます。1日履いたスニーカーは、帰宅後に風通しの良い場所で半日以上乾燥させるのが理想です。

保管時には、シューキーパー(型崩れ防止器具)を入れるのが効果的です。特にレザーアッパーは、シューキーパーを入れないと履きジワが深くなり、ひび割れの原因になります。木製のシューキーパーは吸湿効果もあるため、一石二鳥です。

長期間履かないスニーカーは、湿度管理が重要です。特に合成皮革は高湿度環境で加水分解が加速するため、乾燥剤と一緒に保管してください。靴箱に入れっぱなしにせず、月に1回は取り出して風を通すだけでも劣化の進行を遅らせることができます。

📖 教科書メモ

アッパーの寿命は「お手入れ」と「保管方法」で大きく変わります。履いたあとは必ず乾燥させ、素材に合ったケアを続けることが、スニーカーを長持ちさせる最大のポイントです。

スニーカーのアッパーに関するよくある疑問

アッパーの黄ばみや変色は元に戻せる?

白いスニーカーのアッパーが黄ばむ原因は、素材によって異なります。メッシュやニットなど化学繊維の黄ばみは、洗剤のすすぎ残し(アルカリ成分が紫外線で黄変する)が原因であることが多いです。この場合は、酢やクエン酸を溶かしたぬるま湯(水1Lに対し大さじ1程度)に30分浸けてから再度すすぐと改善するケースがあります。

天然皮革の変色は、日焼けや皮脂の酸化による場合がほとんどです。軽度なら革用クリーナーで落とせますが、日焼けによる色褪せは元には戻りません。白い革スニーカーは、専用の白色クリームやリペイント剤で上から色を入れる方法もあります。

合成皮革の黄ばみは、素材の経年劣化(加水分解の初期段階)であることが多く、表面的なクリーニングでは改善が難しいです。黄ばみが目立ってきたら、寿命が近いサインと考えてよいでしょう。

アッパーが破れたら修理できる?

アッパーの修理可否は、破損の程度と素材によって変わります。天然皮革の場合、小さなキズや擦れならレザー補修クリームで目立たなくできます。破れが大きい場合は、靴修理の専門店でパッチ当てや縫い直しが可能なこともあります。費用は3,000〜8,000円程度が目安です(※店舗・状態により異なります)。

メッシュやニットの破れは、修理が難しい素材です。接着剤で穴をふさぐ応急処置はできますが、見た目が悪くなりやすく、根本的な修理にはなりません。スポーツブランドの直営店では、一部モデルに限りリペアサービスを提供している場合があるので、購入したブランドに問い合わせてみる価値はあります。

合成皮革は修理より買い替えが現実的です。補修してもほかの部分が同時期に劣化していることが多く、修理のコストパフォーマンスが合わないためです。

「ニットアッパーは伸びて型崩れする」は本当?

実はこれは半分正解、半分誤解です。確かにニット素材は伸縮性が高いため、長期間の使用で多少は伸びます。しかし、現在のニットアッパーは伸び止めの工夫がされており、「靴下のようにダルダルになる」ということはほとんどありません。

多くのニットアッパーには、部分的にTPUフィルムや高密度の編み組織を配置して型崩れを防ぐ設計がされています。かかと周りにヒールカウンター(硬い芯材)が入っているモデルも多く、ホールド力が極端に落ちることは少ないです。

ただし、サイズが大きすぎるニットスニーカーを履き続けると、伸びが早まる傾向はあります。ニットアッパーはフィット感が命なので、購入時にやや「ぴったり」と感じるサイズを選ぶのがポイントです。履いているうちに足に馴染んで、ちょうど良いフィット感になります。

Q. アッパーの素材は商品タグのどこを見ればわかる?
A. スニーカーの内側(シュータンの裏面)に素材表記があります。「甲被(こうひ)」または「アッパー」の欄に記載されている素材がアッパー素材です。「合成繊維」「天然皮革」「人工皮革」「合成皮革」といった表記が一般的。オンラインショップでは商品詳細の「素材」欄を確認しましょう。複数素材が使われている場合は、面積の大きい順に記載されるのが基本です。

まとめ——スニーカー アッパーの素材を知れば、靴選びはもっと楽しくなる

スニーカーのアッパーは、足を包むパーツの総称であり、履き心地・通気性・耐久性・見た目のすべてに関わる重要な部分です。同じブランド・同じモデルでも、アッパー素材が違えばまったく別の履き心地になります。だからこそ、素材の特徴を知っておくことが、自分に合ったスニーカーを見つける最短ルートです。

この記事で解説した内容の要点を整理します。

  • アッパーとはソールより上の部分すべてを指し、スニーカーの性能の大部分を決める
  • メッシュは通気性◎、ニットはフィット感◎、天然皮革は耐久性◎——素材ごとに強みが異なる
  • 合成皮革は手頃だが加水分解で寿命が短い(2〜3年が目安)
  • 万能な素材はないため「何を優先するか」を決めてから選ぶのが鉄則
  • 通勤通学なら合皮・ナイロン、運動ならメッシュ・ニット、雨の日なら合皮・TPU補強モデル
  • アッパーの寿命は「履いたあとの乾燥」と「素材に合ったケア」で大きく延びる
  • 商品タグの「甲被」「アッパー」欄を確認する習慣が、靴選びの精度を上げる

まずは、今お持ちのスニーカーの内側にある素材表記をチェックしてみてください。「自分が普段どんな素材を履いているのか」を知ることが、次の一足を選ぶときの判断基準になります。通気性が足りないと感じていたならメッシュやニットを、もう少し長持ちさせたいなら天然皮革を——というように、課題から逆算して素材を選べるようになります。

スニーカーのデザインやブランドだけでなく、「どんな生地で作られているか」にも目を向けると、靴選びがぐっと楽しくなるはずです。

※情報は記事執筆時点のものです。素材のスペックや価格は製品・メーカーにより異なります。最新情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

布や生地のことを調べれば調べるほど「もっと 早く知りたかった」と思うことばかり。リネンのシワに悩んだり、カ ーテン選びで迷ったり、入園グッズの生地がわからなかったり——そんな「布の困った」を解決するために、このサイトを立ち上げました。
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